2025年2月 BIZREPO新着予告情報(1月下旬UP)

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▶シナジー効果を発揮する〝協業〟に関しての法的実務とは
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経営幹部であれば、当然、他社との〝協業〟における「資本提携」や「業務提携」というワードを耳にされたことがあるでしょう。しかし、協業に対する法的根拠からの考察は、それほど熱心に行われていないのではないでしょうか。両者の長所を組み合わせ、短所を補い、シナジー効果を最大限発揮できる手法について法的な実務面から解説します。

◇〝協業〟の必要性
 自社のみで事業を拡大させていくには、おのずと限界があります。一方で、他社とうまく協業することにより、自社単独で行うよりスピードも規模も何倍も速く事業を拡大することが可能です。

・仕 入 → 生 産 → 流 通 → 販 売

これらすべての工程を一社のみで担うことは難しく、そこで、他社との協業で企業同士の結びつきが強くなる「業務提携」と「資本提携」ついて、法律の観点から説明していきます。

◇「業務提携」と「資本提携」の概略
 「業務提携」とは、企業同士が技術やノウハウを提供し合い、協力して業務を行うことで業務の効率化を図ったり、事業の拡大を図ったりすることを意味しています。  「資本提携」とは、提携する企業の一方が他方の株式を取得する、もしくは双方が相手の株式を取得することを意味します。

◇「業務提携」について
 「業務提携」を行う場合には、企業同士で、業務提携契約という契約を締結することが一般的です。この業務提携契約は、提携する内容次第で、契約内容も様々なものとなっています。

◇「資本提携」について
 「資本提携」を行う場合は、提携先企業の株式を保有することになります。協業が前提の場合は「資本業務提携」と言いますが、どちらがどの程度の割合の株式を保有するか、業務提携が終了する際に保有している株式をどのように処理するかなど(資本に関する事項)を、あらかじめ資本業務提携契約書で取り決めておくことが一般的です。

◇「資本提携」と「M&A」の違い
 資本提携と似たような概念として「M&A」があります。株式譲渡による資本提携の場合、基本的に両者の企業の独立性が保たれる、つまり「経営権を渡さない」点が株式譲渡によるM&Aとの大きな違いです。

◇「資本提携」の場合の持株比率
 M&Aの場合は、経営権の取得を目的としているので、少なくとも50%を超える株式の取得を目指します。資本提携の場合には、経営の独立性は保たれることが前提となるので、その観点からも、取得する株式の割合を検討することになります。

◇独占禁止法による規制
 独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)においては、株式の取得などにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合、または不公正な方法により企業結合が行われる場合には、これを禁止しており、禁止される企業結合については排除措置などが取られることになります。

◇協業を成功させる重要なポイント
 協業を成功させるには、企業間のシナジー効果を最大限発揮することが求められます。提携までの法的実務が大切なことはいうまでもありませんが、提携後の企業間の関係性が最も重要です。




編集:中小企業経営研究会